『Carol』〜LIVE at The GLEE〜

キャロル山崎、待望の3rdアルバム。今回は新進気鋭の若手ミュージシャン達とのLIVE録音。

ゲストにジャズ界の重鎮、クラリネットの北村英治を迎え、聞きごたえのあるサウンドに仕上がっている上にキャロル山崎のキュートな魅力をあますことなく表現しているアルバム。
『キャロル』という名前から、クリスマス・キャロルや、CAROLのファンキー・モンキーベイビーなども収録。

収録曲

1 Theme From “SEX AND THE CITY ” (inst)
2 The Gift
3 Bewitched~奥様は魔女より~
4 I’ve Got The World On A String
5 Have You Never Been Mellow ~そよ風の誘惑~
6 Czardas チャルダッシュ Piano solo
7 Cry Me A River
8 Sing Sing Sing
9 I Hadn’t Anyone Till You
10 My Favorite Things
11 ファンキー・モンキー・ベイビー
12 A Nightingale Sang In Berkeley Square
13 Bei Mir Bist Du Schön ~素敵なあなた~
14 Gelsomina~ジェルソミーナ・道~
15 Have Yourself A Merry Little Christmas
16 The Christmas Song

Liner Notes

A Nightingale sang in Berkeley Squareがいい。
第二次大戦中ヴェラ・リンが歌って大ヒットしたこのバラード、ロンドンが日夜ドイツの空襲に見舞われていた頃のことで、当時としてはおよそ非日常的なロマンチックな出会いをナイチンゲールのさえずりに託したこの歌は、歌手の感受性が問われる難曲だと思っている。キャロルがライブでその難曲にチャレンジして、ヴァースからしっとりと歌い上げて夢のようなバークリースクエアの情景を見せてくれるのがうれしい。

このアルバムで新たな境地を拓くことを象徴するような選曲ではないかと思う。それは、スタンダードでも「定番」だからではなく「自分の心を打った歌を自分が感じたように歌う」ということだろう。その意味でI’ve got the World on a Stringも、シナトラのナンバーとして知られるこの歌をキャロル・ナンバーとして立派に消化している。
同様にクラシックのCzardasに前奏をさせたCry me a riverもユニークで面白い。ちなみにCzardasはキャロルのルーツのハンガリーの民謡として有名だ。年齢の話をするのは失礼かもしれないが、キャロルは年を経るごとにジャズシンガーとしての深みと艶が増してきているようだ。

そのキャロルの成長を見守るような北村英治カルテットの優しいサポートが心を和ませてくれる。

木村太郎